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ハムレット 7

ミニオンズが可愛かったり、強化合宿が催されたり、フランケンシュタインだったり、何かと忙しくて後回しになっていましたが、テナント版「ハムレット」を観ました!!
hedgehogさん貸してくださってありがとうございます!!

私にとって二人目のハムレットなんですが、こうやって比較してみるとやはり藤原ハムレットは若い。若さ故の率直さが彼を突き動かしていたんだな~。
さて次はテナントハムレットについて感想を・・・と思っていたらしましまさんがベン・ウィショー版ハムレットについてブログに書かれていました。

その感想を書いた記事の中に「当時の照明ではほとんど役者や舞台美術は今の舞台上のようには見えなかったため、その分を説明で補う台詞が長い」という説明がありました。
これを読んで目から鱗が!
というか、当たり前の前提をすっかり忘れていたわ~私。

「ハムレット」は舞台劇なのだ。
映画やドラマとは違って、目の前に観客がいて、箱みたいに限られたスペースで演じる。
オフィーリアの墓でのシーンの後、イギリス行きの船に乗せられてたハムレットがどのように戻ってきたかをホレイショーに説明しだす。
「唐突だなー」と違和感を感じていたけど、これ観客に対しての説明なんだね?
なるほどなるほど。いやーすっきりした。

そして、私がハムレットを観るに当たってどうしても納得いかなかったこれまたオフィーリアの墓のシーンからその後の展開。
彼女の死を悲しんでいたはずなのに、その後のハムレットは全くそれについて触れない。
オズリックと平然と話をして、レアティーズとの剣の試合の申し込みを受ける。そしていざレアティーズと顔を合わせると「狂気が悪いんであってボクが悪いわけじゃないんだから今までのことは許してね」と言う。

なにこれキモチワルイ。
納得いかなーい!
藤原ハムレットの時はなんとか理由をつけて自分を納得させたさ!
テナントハムレットなら何とかしてくれる・・・そう思ったけど・・・お前もか!テナントハムレット。オフィーリアのこと愛してないのか!


けれども、これはお芝居なのだ。
目の前の観客の心に、悲しみとか、笑いとか、ワクワクドキドキした気持ちを湧き起こさせるのが先決ではないのか。矛盾なんかちょっとくらい脇に置いてしまって。
目から鱗が落ちた私はそう思う。


さてそこで、すごく乱暴なこと言いますよ、私。

ハムレットはドリフのコントである

怒られそうですね。まじめなシェイクスピアファンに。

つまり、どんなに志村の後ろに賊が近づこうとも、観ている観客は「どうして毎回毎回志村は気付かないのか」とは思わない。
「しむらー!うしろうしろー!」とわあわあきゃあきゃあ言って楽しむ。それがお約束。
「ハムレット」もそういう見方でいいんじゃないのか。
ハムレットがいつまで経っても復讐を果たさないっていういけど、さっさと終わらせちゃったら話が続かないじゃないの。
観客は剣を納めるハムレットを見て、ほっと胸をなで下ろし、その後の話の展開をワクワクして待てばいいのではないの?
細かいことは言わずに楽しめば良いのだ。「しむらーうしろー!」って言いながら。


ところで、新潮文庫版の「ハムレット」を読んでいて不思議に思ったところがある。
これは戯曲なので、それぞれ誰のセリフなのかが分かるように名前が上に書かれている。
オフィーリアの墓を掘っているのは「墓堀」でいいはずなのに、彼らは「第一の道化」「第二の道化」なのだ。
「道化師」については『舞台演劇においての宮廷道化師は、右往左往する貴族達をからかい、観客を楽しませる道化役であると同時に 物語に深く立ち入らずに登場人物に干渉する事で、観客を物語に引き込みつつ物語を客観視させるという ある意味、最も重要な役割を担っていると言える』と書かれたものがあった。

ここだけポッカリと別の次元のようなのだ。ハムレットと道化達の会話の場面だけ。
お芝居というものがまず観客ありきのものならば、そして道化の役割が上記のようなものならば、この場面は芝居の終わりに向かっての「タメ」みたいなものなんじゃないの?
もしくは主役と道化によるクライマックスへ向かっての前振り。

さあさあ!お客さんがた。
死んだらみんな穴に埋められて、掘り起こされれば誰であろうとただの頭蓋骨。
そこのところを覚えておいて。これ大事だからね。
この後何が起こるかちゃんと見ておきな。
ここからクライマックスなんだから。用意はいいかい?

・・・と。

そんなふうに考えたら、ハムレットの死も、王や王妃の死も、みんな同じなんだね。
アレクサンダー大王だって、死んでしまった後は酒樽の栓になってるかもしれない。
悩みに悩んだハムレットは、その悩みが大きかった分なんだか滑稽ですらある。死んじゃってみんなと同じ骨になるのに。

「ハムレット」は王子とその周りの人間達が破滅していく悲劇であり、青年が成長する物語であり、作者のシェイクスピアがその時代の揺らぎを反映させた物語である。

そして実はとっても皮肉な「喜劇」でもある・・・というのは穿ち過ぎかしらねえ。

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